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秋村天光 小説web HOMEエッセー・雑文四次元へ?消えたくつした (1 / 1)

エッセー・雑文|四次元へ?消えたくつした (1 / 1)

不思議だ。実に不思議だ。
最初はいつのことだったろうか。
小生は、いつも、必ず次の日の着換えは、
前の晩ベッドの脇において、休むのが日課である。
中でもくつしたは、左右をひとつに丸めて、
衣類の一番上に置くことにしている。
その夜もそうであった。
そうして、次の日の朝、
上にあったくつしたを横にどけ、まず、ズボンをはこうと取り上げた。
そのとき、何か柔らかな物が足の上に落ちた。
「ああ くつしたが落ちたか。後で拾えばいいや」
そう思って、そのまま着替えを続けた。
ところがである。
さてくつしたをはこうと、足元を探したがないのである。
勘違いかと、ベッドの上も探したがない。
柔らかな物だから、たとえ弾んだとしても、
そんなに遠くへ転がるはずはないのである。
そう思いながらも、部屋中探したがやはりない。
妻にも見てもらったが見つからない。
たしかに、最初に手に触れたのである。
間違いなくくつしたであった。
あるいはそうでなかったとしても、
似たような物が、下に落ちていなければならないはずである。
結局、何が何だか訳がわからないまま、
我が家からくつしたがひとつ消えた。
そして……なんと、
また、まったく同じことが起きたのである。
前回と寸分違わぬ状況のときであった。
今度もまた、着替えを取るとき足元に落ちた物があった。
おやっ? やはりベッドの上に、置いた筈のくつしたがなくなっている。
今度は、わざとすぐに拾わずにおいてみた。
なぜならば、前と同じ状況におくことにより、
前回の謎を、解きたかったからである。
しかし、ああ 何と言うことだ。
またしてもないのだ、
間違いなく、足の上に落ちてきたのに。
ぞっとした。
「そんな馬鹿な」
少し蒼くなって、夢中で探したのは言うまでもない。
無駄であった。またしても消えてしまった。
こうして、謎のままくつしたが二つ消えた。
四次元というものが、はたして本当に
存在するものかどうかは知らないが、
ひょっとしたら、我が家の寝室のある一点にだけ
そんな世界に通じる入り口が
ポッカリと口を開けているのではないだろうか。
そのうちに、いつか、小生もそこへ吸い込まれて……

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